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産業保健情報

調査研究報告

徳島県における産業保健活動の実態に関する調査研究
1.はじめに
徳島県における産業医活動に関する調査を、平成2年に徳島県医師会産業医部会において実施して以来、このような調査を行っていないので、現在の実態は明確でなく、産業保健活動の現状は把握しにくい状態である。
そこで、本年度に、嘱託産業医、登録産業医及び事業場に設問を送付し、アンケート調査の結果より実態を把握し、考察を加えて、産業保健活動の活性化を図るために本調査を行った。
2.産業医活動に関するアンケート調査結果と考察

1)産業医対象産業保健実態調査

県下産業医456名にアンケート用紙を送付し、回収136件、回収率29.8%であった。
科別では内科が最多で、外科、整形外科と併せ大部分を占めていた。年齢は40歳代、50歳代を合わせると60%を占め、産業医経験年数は6年~20年が大多数であった。事業場業種では製造業、運送業、保健衛生業が多く、労働者数200人までの規模の事業場が70%を占めていた。
有害業務は有害化学物質を取り扱う業務、粉塵を発生する業務、有害物理的条件を伴う業務、重量物・振動工具など身体に負担のかかる業務など種々あるが、これらの業務を持つ事業場の産業医は40%あり、それぞれの予防対策に苦心している。
また、生活習慣病予防対策、メンタルヘルス対策に問題点をかかえている状態も把握しえた。産業医の出務回数は月1回が10%、月1回以下が50%で、月1回以上は極少数であった。産業医業務内容は健診及び事後措置を行っているものが50%、職場巡視が20%、衛生委員会に参加が15%程度であった。産業医活動上の問題点は、やはり時間的余裕がないが最多で20%、次に事業主との連携不足が15%である。産業医の報酬は事業場規模と出務回数に関連し、金額は1~3万円/月が最多であった。
産業保健推進センターの支援サービスを利用したい意向をもつものは60%を超え、窓口相談・裏地相談の希望内容では、産業医活動に際し具体的事例に関心のあるものが最多である。図書・教材の貸出し希望内容はビデオが30%に達している。
産業医研修会の内容は実地職場研修を希望するものが最多で、産業医のOJTともいうべく、研修会の今後の動向を示唆するものであろう。情報紙を産業医活動に利用したいと回答したものは、掲載内容により多少の差はあるがいずれも20%前後である。産業医の所有する情報通信システムとして、ファクシミリ70%、パソコン50%、インターネット30%であった。
産業医活動継続の意志を持つものは50%、活動したいが依頼がないもの30%であった。

2)事業場対象産業保健実態調査

徳島県内の事業場を抽出し870事業場にアンケート用紙を送付し、回収280件、回収32.2%であった。業種は多岐に亘るが製造業38%、建設業5%、運送業7%で半数を占め、事業場の規模は労働者数200人以下が75%を超える。
有害業務は有害化学物質を取扱う業務17%、粉塵が発生する業務10%、有害物理的条件を伴う業務17%、重量物・振動工具など身体に負担のかかる業務7%であった。これらの有害業務に対し、その予防対策を労働衛生上の問題点として把握し、理解しているものは10%に満たず、生活習慣病予防対策や快適職場づくりを労働衛生上の問題点としている事業場が、それぞれ25%、20%とあり、産業保健に対する事業場の関心の方向を示すものであろう。
産業医選任状況では80%の事業場が選任していた。
産業医業務として健診を実施し、かつ、事後措置を産業医が行っている事業場は60%あり、保健指導、健康相談を行っている所も50%あった。
職場巡視は30%、衛生委員会に参加は25%となっているにもかかわらず、産業医活動に対する満足度は65%あり、不満足の理由にも特に産業医を指弾するものはない。産業医に対する報酬は、事業場規模と産業医出務回数に関連するが、金額は1~5万円/月が多く、また5万円/月以上も回答事業場の13%あった。
産業保健推進センターの支援サービスを利用したいと回答したものが、35%あるにもかかわらず、窓口相談・実地相談・事業主セミナー・衛生管理スタッフの研修に関する設問の種々の項目に対し、利用したい意向を持つものは、いずれも10%以下であり、僅かに生活習慣病と健康づくりやメンタルヘルスの研修を受けたいものが、それぞれ15%以上となる程度であった。
図書・教材の閲覧、貸出しを希望するものは12%にとどまり、情報紙も40%のものが配布を希望していない。産業保健推進センターの広報戦略に一考を要する処である。
事業場の所有する情報通信機器はファクシミリ95%、パソコン90%、インターネット50%で、これらを所持する産業医数を凌駕し、これらの情報通信システムを利用して、事業場へ情報伝達すれば、情報紙より優るものと思われる。
 
3.まとめ
産業医対象調査と事業場対象調査を比較すると、事業場は産業医に比し、産業保健推進センターを利用したい傾向は低いけれども、産業医には期待を持っている。
しかし、産業医は時間的制約もあって事業場の期待に十分応えていない印象をうけた。産業医、事業場ともに啓蒙すべき問題点がそれぞれに存在する。

<調査資料>

アンケート
 調査対象
県内認定産業医456名
50人以上の事業場870社
回収率県内認定産業医136名(29.8%)
50人以上の事業場280社(32.2%)

 ※図をクリックすると拡大します。

























主任研究者 徳島産業保健総合支援センター 所長 七條 茂文
共同研究者 徳島産業保健総合支援センター 相談員 松森 茂
徳島産業保健総合支援センター 相談員 島 健
徳島産業保健総合支援センター 相談員 橋本 澄子
徳島県医師会産業医部会部会長 中川 利一
徳島県医師会産業医部会理事 大木 裕子



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